どうもどうもタケヒロです。
今回は柔整師の方なら100%ご存知オーバーラップフィンガーについてです。
オーバーラップフィンガーとは
中手骨骨幹部の斜骨折または螺旋状骨折の際にみられる骨片の回転転位によって起こる変形
骨転位がなけれ拳を握ると指先の延長線は舟状骨結節に向かうが、オーバーラップフィンガーがあると写真のように指先の延長線が舟状骨結節に向かわなくなる。
変形は第3・4指では軽度であるのに対し、第2・5指では強く出現し機能障害も著名となる。

ていうやつです。
でね、次の写真を見てほしいのですが…

わかりますよね?
右の5指が激しくオーバーラップフィンガーになってます。
わかりやすいようにガイドをつけると。

明らかに1本だけバカみたいに明後日の方向を向いてるんですよ。
そして
なにを隠そう、これはぼくの手です。
ということで 指重なり a.k.a TAKEHIRO の実体験に基づいたオーバーラップフィンガーの後遺症を具体的に解説していきます。
そもそもいつ骨折したのか
これが怖いことに全くわからないんです。

実はぼくは柔整師でありながら接骨院で治療を受けたのは大学生になってからです。
その時にはすでに5指は明後日の方向を向いていたので骨折したのは高校生以前ということしか分かりません。
まぁおそらくですが、中高でバスケットボール部に所属、突き指など手の怪我は日常茶飯事だったことからそれぐらいの時期に骨折していたのではないかと思います。
思い返すと中学生の時に一度だけ相手と接触して小指が真っ青になったことはありました。
もしかしたら折れていたのかもしれませんが、顧問から湿布貼っとけ練習休むなと言われ、病院には行かず、湿布のみで痛みに耐えながら練習には参加していました。
パスキャッチすらできないので余計に怒られて退部してやろうかと思ったくらいです。
顧問よりも先輩が怖くて退部できませんでしたけど。
ちなみにぼくの学校は中高一貫校だったため、怖かったのは中学の先輩ではなく高校の先輩でした。
中1〜高3が同じ部室はなかなかカオスでした。
そんなこんなでいつの間にか5指は元通りになり骨折に気づくこともなく過ごすことになります。
いつ気づいたのか
時は流れて大学生になり、柔整師の資格をとるべく受験勉強期に突入するわけですが、ある時、右の5指のMP関節に鈍い痛みが出るようになり、ばね指みたいに引っかかるようなりました。
そこで左右で比較してみるとびっくり。
オーバーラップしてました。
ということで気づいたのは、負傷を中学生の頃と仮定すると約8年後くらいになります。
実際の機能障害
ここからはタケヒロの手指に起こった、そして現在も起きている機能障害について解説します。
ばね指様症状
まずは動画をご覧ください。
24時間365日この状態です。
基本的に痛みはありませんが特定の条件を満たすことでバネ症状の増強と不快な鈍痛が出ます。
それが次の内容です。
物書きが長時間できない
個人的にはこれが1番困っています。
ひたすら書いて覚える人種のぼくの勉強方法はとにかくノートに書くこと。
しかしこの指のおかげで長時間の物書きができません。
長時間どころか、小まめにペンを置いて手を休めないと使い物にならなくなります。
具体的にはこんな感じになります。

そしてこの状態になるとバネ症状も増強します。
ちなみにPC作業は書くよりはまだマシです。(それでも長時間やると症状は出る)
箸が疲れる
これも結構悲しいんですが、長い時間箸を使っているとやはり小指球がつります。
握る際に不快
何かを握る際に5指が4指に食い込むので不快です。
といっても一瞬握るくらいなら平気なんですが。
じゃあ、どんな時に不快なのかと言うと、運転です。
車の運転、バイクの運転、自転車の運転、全てハンドルは握りっぱなしですよね。
実際に握りポジションの写真を撮りましたのでご覧ください。


患側の小指の密着が悪く(指尖からMPにかけて密着しないのでハンドルとの間に空間ができる)、4指に食い込み気味なのがわかりますでしょうか。
車だとハンドル操作だけになりますがバイクになるとアクセル操作も加わってきます。
そしてこれが地味にキツい。そして常に不快。
ちなみにバイク用のグローブはどのメーカーのものを使っても右手だけしっくりきません。(クソ不快)
4指の伸展の邪魔になる
握り込んでから手指を伸展しようとすると4指に5指が食い込んで邪魔します。
握力は落ちていない
これは意外かもしれませんが握力は全く落ちていません。
しかし持続握力は確実に低下しています。
握り続けるができない。
大した機能障害ではない?
ここまで読んで
「大した機能障害じゃなくない?」
「生活には支障ないレベルじゃない?」
と思った方がいたのであれば治療家やめた方がいいですよ。
その思考レベルだと患者さんに寄り添うことはまず不可能です。
確かに生活困難には陥っていません。
ただしそれは機能面だけの話です。
患者さんの精神面まで考えましょう。
ぼくの場合だと以下が精神面に影響を与えています。
- 長時間の物書きができない
- 箸が長時間使えない
- 運転時の不快感
理由がわかりますか?
- 長時間の物書きができない
→気持ちでは勉強を続けていたいのに指が痛くて強制終了。 - 箸が長時間使えない
→大好きな食事中に不快な思いをするので100%食事が楽しめなくなる。 - 運転時の不快感
→趣味のバイクでも不快な思いをするので100%楽しめなくなる。
まぁ正直もう受け入れているので今は慣れましたけど。
慣れない内はこれが日々のストレスになるわけです。
機能面だけ見て生活に支障はないですねってのは間違いではないです。
ただ、患者さんは人なので感情があります。
生活に支障はなくても満足にできなくなることは少なからずあります。
そういったことにも目を向けるというか、配慮するというか、想像をめぐらすというか…
正直、今でもたまーーーーーーに、指まっすぐに戻らないかなぁって悲しくなる時はあります。
変形治癒との上手な付き合い方
とは言え落ち込むだけでは何も解決しません。
治らない…治らないなら症状が出ないように管理して付き合うしかない。
これがぼくの出した結論です。
そして活用しているのがお得意のマッケンジー法です。
「マッケンジー法習得していて良かったぁー!」久々に思いました。(久々なのかいな)
まぁとにかく、日常的にマッケンジー法を使用することで症状の悪化頻度を下げ、悪化しても即座に軽減させることができるようになりました。
ぼくなりの言葉でマッケンジー法を説明すると、
マッケンジー法とは関節に特定の運動負荷を加えることで症状の改善を目指す手法で、従来の施術者中心のスタイルではなく患者が主体的に行うことで、施術者から患者の自立を促すことを最大の目的としています。
※関節は脊柱だけではなく四肢末端全ての関節を含みます。
ちなみにマッケンジー協会のHPにはこうあります。
マッケンジー法は、腰痛や首の痛み、手足の痛み等に対する検査法、施術法として国際的に高い評価を得ています。ニュージーランドの理学療法士、ロビン・マッケンジーによって、1950年代に考案されて以来、世界中で広く活用されている健康回復のための自己管理方法です。
マッケンジー法の認定セラピストは、腰痛や首の痛み、手足の痛み等を、マッケンジー法を活用してどのように検査すればよいかを、国際マッケンジー協会が設定した教育システムを履修することによって習得しています。
マッケンジー法は、腰痛や首の痛み、手足の痛みなどで悩む人が、自身の問題を自らが主役となって解決すべきであるという哲学です。自らが主役となって自身の問題を解決する自助論として、世界中の患者や臨床家から信頼され活用されています。マッケンジー法は、理学療法などの分野において、最も多く研究の対象とされるものの一つです。
マッケンジー法の特長の一つは、検査方法が安全で、その結果の信頼性が高いということがあげられます。信頼性の高い結果に基づいて、その人に合った自己管理プランが立てられるのです。MRIのような高価な検査は、多くの場合必要ありません。認定セラピストは、エクササイズや姿勢などで改善できるタイプなのか、どのようなエクササイズや姿勢が必要なのか、日常生活で気をつけるべき点は何なのかを速やかに判断できます。
マッケンジー法は、確固たる原則、基準に基づいて、初回の検査から再発の予防対策に至るまでを含んだ、本当の意味での包括的な健康回復・維持のシステムです。このシステムをきちんと理解して活用すれば、非常に高い効果が得られるのです。
※ちなみに一応言っておくとぼくはマッケンジー法の認定資格者ですからね(小声)
具体的にやっていること
いつものように症状が悪化した時に変形について改めて考えてみました。
中手骨骨幹部骨折の回旋転位…たぶんこう。笑

そしておもむろに逆回旋+MP関節他動フル屈曲
(最大屈曲を3秒キープで3回反復しました。)

そしたら症状が一気に軽くなったんです。
ここから逆算して考えて4、5指間の掌側をできるだけ離開させるとどうやら楽になるっぽいという結論に着地しました。
正直なにが起こってるのかは正確には分かりませんが感触的には深横中手靭帯、骨間筋への持続伸張刺激かなと思います。
まぁなんにせよお陰でどうにか困ることもなく、セラピストに頼ることもなく今日まで過ごせています。
これぞマッケンジー法の真骨頂(症状の自己管理=患者の自立)って感じです。
思い起こせば左手も
実は過去に自転車の事故で左手も骨折したことがあります。
その時のCTがこちら。
ちなみにこのとき25歳なので本厄です。オッカネー
で、その時のオペとリハビリがマッケンジー法を行っている整形外科だったんです。
最初は手の作業療法士さんが担当してくれて通常の整形外科的なリハビリをしていたのですが2ヶ月くらい経過して症状固定に…
医師に相談してマッケンジー法へ移行ということになりその初回でいきなり20kgしかなかった握力が57kgに改善。笑
その時のメニューが4指MP関節の回旋+屈曲でした。
逆に回旋+伸展をすると57kg出ていた握力がまた20kgまで落ちました。(マッケンジー法で考えると何も不思議ではない)
手指の機能障害には手の内在筋が大きく関与しているんでしょうね。
ということで指重なりa.k.a TAKEHIROによるオーバーラップフィンガーの後遺症体験記でした。
ではまたっ。
他にもぼくが書いたブログがたくさんあるのでよかったら読んでってくださいな!
参考および引用書籍・サイト
集-tsudoi-のブログでは以下のリストを参考もしくは引用しています。
書籍
- ガイトン生理学 原著第13版
- 筋骨格系のキネシオロジー 原著第3版
- グレイ解剖学 原著第4版
- プロメテウス解剖学 コア アトラス 第4版
- カラー図解 人体の正常構造と機能
- カンデル神経科学
- カパンジー機能解剖学
- 頭蓋仙骨治療
- アナトミー・トレイン
- チャップマンとグッドハートによる神経リンパ反射療法
- オステオパシーの内臓マニピュレーション
- The Mulligan Concept of Manual Therapy: Textbook of Techniques
- 臨床家のための基礎からわかる病態生理学
- マッケンジーエクササイズ頚椎・胸椎―構造的診断と治療法
- 腰椎―マッケンジーエクササイズ
- 「ポリヴェーガル理論」を読む
- からだのためのポリヴェーガル理論: 迷走神経から不安・うつ・トラウマ・自閉症を癒すセルフ・エクササイズ