どうも、タケヒロです。
今回は基礎復習シリーズ第5弾「疲労」です。
過去のシリーズはこちら
疲労と一口に言ってもちゃんと説明できる人って少ないと思うんですよね。
ストレスです!睡眠不足です!…そんな一言で片付けてる人の多いこと。
疲労の定義
まずはここからハッキリさせていきましょう。
疲労の定義は統一されていないようです!笑
言うのであれば、作業能率や作業量が低下した状態でしょうか。
器質的変化は伴わない回復可能な機能低下って言い方の方がぼくはしっくりくるかもです。
分類
- 急性疲労
肉体労働でみられる一過性の疲労、適度な休息でで速やかに回復 - 慢性疲労
肉体的あるいは精神的な疲労が完全回復せず蓄積した状態 - 精神疲労
精神的な作業を続けた際に出現、脳が感じる疲労、中枢性疲労とも言われる - 肉体疲労
肉体的作業を続けた際に出現、体が感じる疲労、末梢性疲労とも言われる - 全身疲労
全身運動(ランやスウィム)や重作業で全身に疲労が及んだ状態 - 局所疲労
体に一部位を使用した際に出現、使用した部位もしくはその周辺の関節や筋肉など局所の疲労
原因
疲労は激しい運動や精神的緊張などで起こりますが、疾患の一症状として現れる場合もあります。
みなさんも感じているとは思いますが、疲労の原因特定は難しいです。
ですが多くの場合で以下が原因と考えられています。
- 疲労物質の蓄積
- エネルギーの枯渇
- ホメオスタシスの失調
非器質的原因の疲労
筋疲労
筋収縮には必ずエネルギーであるATPの消費が伴います。

といってもATPを使うのではなく、ATPからリン酸を切り離す時に放出されるエネルギーを利用しています。
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このリン酸の蓄積、解糖系での乳酸蓄積、ATPの原料となる筋グリコーゲンの枯渇などが原因とされています。
乳酸は悪者なのか?
筋収縮で乳酸が生じると筋肉内のpHが酸性に傾きます。すると筋収縮能が低下します。この時点では乳酸が疲労に関与していることは明白です。しかし、乳酸は蓄積され続けるわけではなく運動中に代謝されていきます。そう考えると運動後の数時間続く疲労や翌日に疲労や筋肉痛、日常的な疲労や肩こりの原因は乳酸ではない可能性があります。ここで次の容疑者として浮上してくるのがリン酸です。リン酸はCaイオンと結合しやすい性質があり、筋収縮時に筋小胞体から放出されるCaイオン結合し筋収縮を妨げます。結果的に筋収縮能が低下して疲労状態となります。
筋収縮とCaイオンの関係はさすがに説明不要ですよね?
神経疲労
神経細胞の接合部であるシナプスでは、シナプス前ニューロンを高頻度で繰り返し刺激すると疲労して伝達の中断が起こることがわかっています。
伝達物質の枯渇、エネルギー源の枯渇、電解質バランスの失調などが原因とされています
内臓疲労
暴飲暴食で消化や吸収、代謝といった内臓の負担が増えると内臓疲労を起こします。
当然、それに伴い内臓機能も低下します。
また、その状態が長期間続き内臓能力の限界突破が起こると、糖尿病や肝硬変などの疾患へ移行します。
内臓の多くは副交感神経に管理されているため中枢神経の疲労や視床下部での異常からの影響を受けます。
この場合、呼吸数や心拍数、血圧、蠕動運動などの自律神経関与の機能に異常が現れます。
器質的原因の疲労
筋組織の機能的・化学的変化
筋組織の破壊や変性と再生を繰り返す疾患(筋ジストロフィー)では筋萎縮と筋力低下が進行します。
アセチルコリン受容体に対する抗体が血漿中に形成され、筋膜のアセチルコリン受容体が破壊されてしまい、神経と筋肉の情報伝達が不可になる重症筋無力症では全身の筋力低下、易疲労性、眼瞼下垂や複視などの症状が特徴です。
筋力低下があると日常動作ですぐに疲労を起こします。
脱水症
体液総量の低下、またはこれによって生じる症候群のことを脱水といいます。
体液には電解質が含まれているため、脱水とは水と電解質の不足を意味します。
- 高張性脱水症
水が不足した脱水症のことを言います。血液が濃くなる(高張になる)ため、浸透圧により細胞内の水が血中へ移動するので循環血液量は比較的保たれます。そのため脱水が顕著でもショック症状などは起こりません。自覚症状は口の渇き、皮膚の乾燥、体温上昇などです。ただし、脳細胞からも水の移動が起こるので脳が萎縮します。中枢神経の機能不全が起こると錯乱、神経・筋の興奮亢進、痙攣や昏睡に陥ります。 - 低張性脱水症
主にナトリウムが不足した脱水症のことを言います。血液が薄くなる(低張になる)ため、浸透圧で血中の水分が細胞内へ移動するので循環血流量が低下します。そのため血圧低下、頻脈、ショックを起こします。細胞内の水分量が上昇すると電解質濃度が低下し、細胞の稼働が低下し、全身倦怠感や傾眠などの意識障害を起こし、重症になると脳浮腫が起こり悪心嘔吐、昏睡などの脳神経症状が現れます。
低血糖
低血糖は血中グルコース濃度が50mg/dl以下の状態のことを言います。
グルコースは細胞活動のエネルギー源となるのですが、脳細胞は特に多くのグルコースを消費します。
脳の重さは体重の約2%に過ぎませんが、エネルギー消費は全体の約20%という大飯食らいです。
血糖値が低下するとまずは血糖上昇ホルモンの作用で発汗、振戦、頻脈、空腹感、悪心嘔吐などの交感神経症状が出現します。
これらは脳の機能に影響が出る前の最終警告症状です。
適切な処置をせずに低血糖が進行し脳へのエネルギー供給が維持できなくなると、強い疲労感、脱力感、めまい、目のかすみ、頭痛、集中力の欠如が現れます。
さらに進行すると不明瞭な話し方、錯乱などが現れます。
血糖値が30mg/dlを下回ると昏睡から死にいたります。
ちなみにタケヒロは本気で減量していた時、実験的に糖質と脂質の摂取を10g/日以下で過ごしたことがあります。数日でめまい、立ちくらみ、頭痛、四肢の脱力と痺れ、目のかすみが現れたのを覚えています。当時MT車に乗っていたのですがクラッチが踏めないくらい力が入らなくなり大変でした。友人の家の冷蔵庫にあったベイクドチーズケーキを我慢できずに1ホール食べてしまったのですが、食後から一気に絶好調になりました。過剰な食事制限は死にますね。
貧血
血中ヘモグロビンの量が低下、不足に陥ると貧血となります。
赤血球そのものが減少する場合と赤血球は正常でもヘモグロビンが減少する場合があります。
赤血球の寿命は120日で、破壊された分だけ新生されるので濃度変化というのは起こりません。
大出血や生成〜破壊の過程での機能異常があると貧血が起こります。
ヘモグロビンが低下すれば臓器や組織では酸欠が起こり、めまい、立ちくらみ、頭痛、易疲労感、全身倦怠感、息切れ、筋力低下などの症状が現れます。
他覚症状としては顔面蒼白、浮腫などがあります。
酸素運搬能力が低下するため心拍出量の増大と頻脈も起こります。
代謝障害
- 代謝低下
代謝低下を起こす原因としては甲状腺ホルモンの分泌低下があります。甲状腺ホルモンの材料になるヨードの摂取不足や利用障害、ホルモン合成過程の機能障害などで分泌は減少します。甲状腺ホルモンには熱産生、三大栄養素・ビタミンの代謝、カテコールアミンの作用促進などの働きがあり、分泌が低下すると冷え感を訴えるようになります。他にも貧血、低血糖、肝機能低下、心機能低下、神経・筋の興奮性低下、腎機能低下、便秘、自律神経機能低下などの症状がみられます。 - 代謝亢進
甲状腺ホルモンの分泌が過剰になると代謝は亢進します。原因としてはバセドウ病が最多です。その他は甲状腺腫、甲状腺炎などがります。代謝が亢進するので酸素消費が増え、熱産生が更新します。=疲労
電解質バランスの異常
カルシウムやカリウムは細胞の生理機能に大きな影響があります。
血中濃度に異常が生じると神経・筋の興奮性など様々な症状が現れます。
- カリウムイオン
細胞内のメインの陽イオン、神経や筋肉の興奮性に関与、細胞機能の維持には必須のイオンです。ブドウ糖やアミノ酸を細胞内に取り込む際や、グリコーゲン形成に必要になります。 - カルシウムイオン
筋収縮や血液凝固、正常な神経機能の維持に欠かせないイオンです。
炎症・組織壊死
炎症で考えれば風邪からはじまり、インフルエンザや結核、ウイルス性疾患などの感染症があげられます。
全身性の炎症を起こす膠原病もそうです。
悪性腫瘍や脳血管障害では組織壊死が起こります。
結果的に疲労感や倦怠感が現れます。
原因不明の疲労
慢性疲労性症候群:突然原因不明の強い疲労感に襲われ、日常生活に著しい障害をきたす状態が6ヶ月以上継続するもの。
長期間の疲労感以外には、微熱、咽頭痛、頚部もしくはリンパ節の浮腫、筋力低下、思考力低下、睡眠障害が繰り返されたりします。
ということで今回はここまで。
疲労ひとつとっても生理学や一般臨床の基礎知識が必要不可欠ということが伝われば幸いです。
ではまたっ。
このサイト内のコンテンツは全て臨床家の学校 集-tsudoi- のスズキタケヒロのコンテンツになります。
参考および引用書籍・サイト
集-tsudoi-のブログでは以下のリストを参考もしくは引用しています。
書籍
- ガイトン生理学 原著第13版
- 筋骨格系のキネシオロジー 原著第3版
- グレイ解剖学 原著第4版
- プロメテウス解剖学 コア アトラス 第4版
- カラー図解 人体の正常構造と機能
- カンデル神経科学
- カパンジー機能解剖学
- 頭蓋仙骨治療
- アナトミー・トレイン
- チャップマンとグッドハートによる神経リンパ反射療法
- オステオパシーの内臓マニピュレーション
- The Mulligan Concept of Manual Therapy: Textbook of Techniques
- 臨床家のための基礎からわかる病態生理学
- マッケンジーエクササイズ頚椎・胸椎―構造的診断と治療法
- 腰椎―マッケンジーエクササイズ
- 「ポリヴェーガル理論」を読む
- からだのためのポリヴェーガル理論: 迷走神経から不安・うつ・トラウマ・自閉症を癒すセルフ・エクササイズ

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