今回はぼくがよく使う徒手療法の1つであるマリガンコンセプトの概論の解説です。
その前にそもそも徒手療法とはなんなのか?どんな種類のものがあるのか?について少しだけ書かせてもらいます。
徒手療法はテクニックではない
徒手療法がハウツーだと思って勉強している人は正直言って雑魚です。
技術盲信で終わりです。ご苦労様でした。

こういうのを想像している人はお帰りくださいって感じです。
で、徒手療法ってなんなの?って話ですが。
徒手療法の定義は以下の通りです。
運動器疾患に対して徒手を用いた評価を含み、何が問題なのかを仮説立て介入検証するクリニカルリーズニングに長けていて構造やバイオメカニクスだけでなく患者の社会的背景も含めて最終的にどうアプローチするのが良いかを選択すること
なんですよ。
で、ここにあるクリニカルリーズニングって言葉はご存知でしょうか。
クリニカルリーズニングというのは
評価は痛みやROM、機能だけでなく患者の社会的背景や性格などのパーソナル情報も含み
評価から推測される原因を仮説し施術介入で立証作業を行う介入後の結果に対して考察を行い
結果によっては再評価をし、再び原因仮説の作業を行う
こういった一連の流れのこと言います。

おそらく言葉自体は知らずともやっている人は多いのかもしれません。
割と当たり前のことだから。
ですので当然のことながらマリガンもクリニカルリーズニングを含みます。
有名な徒手療法
世界には数々の徒手療法が存在します。
しかし柔道整復師や鍼灸師はあまり馴染みがなく、PTやOTの間では常識レベルな内容です。
日本固有の資格か世界共通の資格かの違いでしょうね。柔整は実に視野の狭い資格です。

この画像は有名な徒手療法がどこ発祥なのかを表しています。
まぁ正直AKA博田法は世界レベルかどうかは怪しいですが。
この他にもオランダ徒手療法というものがありますが、あれはオランダ帰りの日本人が各徒手療法の良いとこ取りをして作ったものなので二番煎じ感が否めません。
認定を持っている知り合いにも話を色々聞きましたがざっくり「なんでもやる徒手療法」と言っていました。
マニュピレーションはドイツ徒手医学のそれと同じだし、なんならもろカルテンボーンだし。
ということでここには載せていません。
徒手療法の棲み分け
マッケンジー法のマッケンジー先生、マリガンコンセプトのマリガン先生は同じ徒手療法を学んでいました。(らしいです)
それがカルテンボーンです。
カルテンボーンは手技を主体に患者が受動的な内容なのに比べ、マッケンジー法やマリガンコンセプトでは必ず自動運動とホームワークエクササイズが登場します。
このことからカルテンボーンを古典的徒手療法、マッケンジーやマリガンを近代的徒手療法なんて言ったします。
マリガンコンセプトについて
マリガンコンセプトは1970年代にニュージーランドのPTであるブライアン・マリガンによって考案されました。
関節Mobilisationとエクササイズを主体とし、それまでは臥位での施術が主流だったが立位や座位、自動運動を伴ったものを活用しました。
特徴的なテクニックとして
- SNAG
- NAG
- Revers NAG
- MWM
- PRP
などがあり、独自の刺激Glideというものを用います。
実施の上での基本原則PILLとCROKSがあります。(後ほど説明)
評価と治療が一体化
評価に治療行為を用いるため良い反応が得られた場合、即座に評価が治療に切り替わる。
Positional Fault
マリガンコンセプトの基本的な考え方
「関節の位置異常が症状の原因」
Glide
マリガンコンセプト独自のもの
関節の凹面を治療面として、凹面に対して力を加えて関節の位置異常を正す。
Glideを加えた状態で自動運動を行い症状が改善するかどうかを探っていく。

SNAG
Sustained Natural Apophyseal Glideの略
Sustained:持続的
Natural:自然な
Apophyseal:椎間関節
Glide:滑走
という意味になるのでつなげると、持続的椎間関節自然滑走法ということです。
このテクニックは後頭骨〜仙骨までの脊柱関節に使用します。
持続的に椎間関節に滑走を加えながら自動運動を行い、実施の際に無痛で、可動域制限と運動痛などの症状が改善すれば適応となります。
NAG
Natural Apophyseal Glideの略
C2〜C7椎間関節に使用します。
Middle range 〜 End range でのMobilisationになります。
下位関節面に対して上位関節面を滑走させることで可動域制限と運動痛を改善させるテクニックです。
特に頸部の急性の強い痛みなどには効果絶大
Revers NAG
Revers Natural Apophyseal Glideの略
C6〜Th4椎間関節に使用します。
NAGの反対で、下位関節面を上位関節面に対して滑走させることで可動域制限と運動痛を改善させるテクニックです。
頸部End rangeでの制限やForward head posture由来の頸部痛、変性している下部頸椎と上位胸椎、回旋End rangeで一側性に制限が強い場合に効果的です。
MWM
Mobilisation With Movementの略
主に四肢関節に使用します。
自動運動とMobilisationを併用したテクニックです。
Glideによる関節の位置異常の修正に合わせて関節周囲筋の協調性をコントロールしながら自動運動をさせます。
正しい動的アライメントで自動運動を伴うMobilisationが繰り返されることで関節運動の軌道が正常化されます。
例外的に脊柱に使うことも。
PRPS
発症から6週間以上経過した慢性機の痛みで、MWMやSNAGの効果がない場合に使用します。
圧迫、伸張、筋収縮の3種類のいずれかのテクニックを用いて、20秒保持し症状改善を確認します。
20秒で症状が消失すればシゲkいを強めて20秒保持をして症状改善を確認します。
正直、使ったことないです。
マリガンコンセプトの基本原則
PILL
P:Painfree(無痛)
I:Instant effect(即時効果)
L:Long(長く)
L:Lusting(継続)
正しくマリガンコンセプトを行なった場合、テクニック実施中は無痛で、その場での変化があり、その変化は長期間継続しなくてはいけません。
以上のどれか1つでも欠けた場合はマリガンコンセプトではありません。
CROKS
マリガンコンセプトを行う上で欠かせない内容です。
C:Contraindications(禁忌)
R:Repetitions(反復)
O:overpuressure(オーバープレッシャー)
C:Communications(患者理解)
K:Knowledge(解剖学的知識)
S:Sustain Skill Sense(持続、技術、感覚的センス)
徒手療法における一般的な禁忌はマリガンコンセプトでも同様で、テクニックは持続・反復で行いオーバープレッシャーを必ず用います。
患者自身が施術の必要性を理解し能動的に参加し、セラピストは解剖学的知識、触れている部位を形を感じ取り3Dイメージを脳内で作り出す技術を持つ必要があります。
実施時の回数
マリガンコンセプトではテクニック実施時の回数にも決まりがあります。
脊柱の場合
初回 3回反復を1セット
再診以降 6〜10回反復を3〜5セット
四肢の場合
初回 6回反復を3セット
再診以降 6〜10回反復を3〜5セット
※ぼくはマリガンコンセプトをマッケンジー法の1エッセンスとして使用しているためこの限りではありません。
さいごに
マリガンコンセプトのテクニックはどれも素晴らしくソフトです。
いわゆる柔整的操作は全てオーバーパワーになります。
過去行なってきたセミナーでぼくのした一番多かった指摘は「強すぎます」です。
ですので見様見真似は本当におすすめしません。
セラピストはなぜかテクニックを教わらずとも真似する悪癖をもつ人間が多くて悲しいです。
しかもその大半は患者の改善ではなく試してみたいという我欲を満たすために行っているのがさらに悲しみを増しています。
自分が患者だったらどう思うのかよく考えて欲しいものです。
ちなみに2021年の10月から毎月公開しているセミナーアーカイブではマッケンジー法とマリガンコンセプトのテクニック解説が盛りだくさんです。
このサイト内のコンテンツは全て臨床家の学校 集-tsudoi- のスズキタケヒロのコンテンツになります。
参考および引用書籍・サイト
集-tsudoi-のブログでは以下のリストを参考もしくは引用しています。
書籍
- ガイトン生理学 原著第13版
- 筋骨格系のキネシオロジー 原著第3版
- グレイ解剖学 原著第4版
- プロメテウス解剖学 コア アトラス 第4版
- カラー図解 人体の正常構造と機能
- カンデル神経科学
- カパンジー機能解剖学
- 頭蓋仙骨治療
- アナトミー・トレイン
- チャップマンとグッドハートによる神経リンパ反射療法
- オステオパシーの内臓マニピュレーション
- The Mulligan Concept of Manual Therapy: Textbook of Techniques
- 臨床家のための基礎からわかる病態生理学
- マッケンジーエクササイズ頚椎・胸椎―構造的診断と治療法
- 腰椎―マッケンジーエクササイズ
- 「ポリヴェーガル理論」を読む
- からだのためのポリヴェーガル理論: 迷走神経から不安・うつ・トラウマ・自閉症を癒すセルフ・エクササイズ










