どうも。スズキタケヒロです。
今回は呼吸姿勢についての考察についてまとめます。
ダッシュやハードなウェイトトレーニングなどの息が上がる運動をすると自然と膝に手をついた呼吸姿勢をとる人が大勢います。
いったいあの姿勢になるのはどういった理由からなのでしょうか?
深掘りしていきます。
あの姿勢とはつまり努力性吸気
はい、この姿勢です。
激しい運動の直後によく見られる姿勢です。
状況で言うと、激しい運動により酸素需要が増えているので安静吸気だけでは必要酸素量を取り込むことができない状況ですね。
つまり努力性吸気です。
努力性吸気の際に動員される筋肉は覚えていますか?
上後鋸筋、下後鋸筋、肋骨挙筋、胸鎖乳突筋、広背筋、頸腸肋筋、小胸筋、大胸筋、腰方形筋
でしたね。
それから吸気を邪魔する要因にも触れておきましょう。
腹筋群の収縮と腹圧の上昇
ですね。
詳しくはこちらで確認してください。
以上を踏まえてもう一度この姿勢を見てみましょう。
さぁ何が見えてきますか?
ぼくには色々見えてきましたよ。
実に戦略的な姿勢
この姿勢でのポイントは3つです。
さぁ、考えてみましょう。
まずはそれぞれを言語化しましょう。
①背中を丸めていますね。
②顔は前を向いていますね。
③両膝に手をついていますね。
これらそれぞれがどのような戦略の結果なのかを考えてみます。
①背中を丸めている
背中を丸めることで吸気に貢献するのはなぜでしょう?
この姿勢になることで腹筋群の緊張が抜け、腹圧を低下させられるからですね。
高い腹圧は吸気の邪魔になります。
②顔は前を向いている
さてこれがなぜ吸気に貢献するのでしょうか。
ここでキーになってくるのが胸鎖乳突筋です。
次にこの姿勢では頭部はどのような状態なのか考えましょう。
いわゆる前方位という状態ですね。
この状態になると胸鎖乳突筋の走行ラインがどうなるか想像できますか?
答えはこうです。
この姿勢になって顔を前に向けることで胸鎖乳突筋の走行ラインが重力線と限りなく平行になります。
これにより胸骨および鎖骨の引き上げ作用が増し、胸腔拡大に貢献しています。
おさらいはこちらでそうぞ。
③両膝に手をついている
続いてこちらはどうでしょう。
両膝に手をついているから何なんだ。
それでは上肢に関連のある努力吸気筋を思い出してみましょう。
それがこちら
広背筋、小胸筋、大胸筋
これらには強制吸気筋として発動するための条件があります。
広背筋→上肢が固定されている
小胸筋→肩甲骨は安定している
大胸筋→肩関節90°屈曲位もしくは外転位で固定
改めて見てみましょう。
どうです?
バッチリ条件満たしてますよね。
ということで広背筋、小胸筋、大胸筋を吸気筋として総動員できるわけですね。
おさらいはこちら。
ちなみにこれらの筋肉を呼吸筋として動員する条件を満たした運動療法がこちら
ということでこの姿勢がいかに戦略的な姿勢かご理解いただけたかと思います。
部活などで膝に手ついて呼吸するなという指導がいかに非効率的なことか…(ぼくは手をつくなで指導された世代)
今回の臨床学はいかがだったでしょうか。
あなたの臨床の一助になっていれば幸いです。
他にも臨床学のブログを書いていますのでよければご覧ください。
また千木良先生が呼吸に関するブログを多々執筆中ですので合わせてご覧ください。
参考および引用書籍・サイト
集-tsudoi-のブログでは以下のリストを参考もしくは引用しています。
書籍
- ガイトン生理学 原著第13版
- 筋骨格系のキネシオロジー 原著第3版
- グレイ解剖学 原著第4版
- プロメテウス解剖学 コア アトラス 第4版
- カラー図解 人体の正常構造と機能
- カンデル神経科学
- カパンジー機能解剖学
- 頭蓋仙骨治療
- アナトミー・トレイン
- チャップマンとグッドハートによる神経リンパ反射療法
- オステオパシーの内臓マニピュレーション
- The Mulligan Concept of Manual Therapy: Textbook of Techniques
- 臨床家のための基礎からわかる病態生理学
- マッケンジーエクササイズ頚椎・胸椎―構造的診断と治療法
- 腰椎―マッケンジーエクササイズ
- 「ポリヴェーガル理論」を読む
- からだのためのポリヴェーガル理論: 迷走神経から不安・うつ・トラウマ・自閉症を癒すセルフ・エクササイズ